星野浩子インタビュー

未病段階で診ることは少ない現状

T：東洋医学では未病段階の治療や、病気の原因を取り除くことが強いということですが、先生のクリニックでは実際にはどのような症状の動物を診られることが多いのですか？

実際には未病段階で診ることは少ないのが現状です。関節の不調、皮膚病が酷い、など具体的な症状が出てから診ることが多いです。

T：動物は人間と違って、疲れたり体調がおかしいのを伝えられませんからね。

ですが、動物も言葉は通じなくても健康な状態との違いは必ず症状として現れるので、普段のケアや食事から些細な変化を見つけることは大切です。疲れ方や毛並み、食事量の変化なども現れるので、それを見落とさないことです。

T：簡単ではないですよね。もっと身近にカウンセリングできたり、相談できると良いですよね。

実際に往診でお伺いしていても「どこまで相談していいのかも分からない」、「どこで相談すれば良いのか分からない」などの声も多くて、まだまだ飼い主さんと医院の間に距離があるのが分かります。

飼い主さんたちの苦悩を減らし意識を高めて行くためにも、定期的な来院や気楽にカウンセリングを行える環境を整備していくことが大切だと思います。

東洋医学の診察方法について

T：動物の診察はどのように診られるのですか？

東洋医学には望診、聞診、問診、切診という診察方法があります。

望診(ぼうしん)は、動物の顔色やしぐさ、身体などを目で見て診察します。

聞診(ぶんしん)は、動物の鳴き声を聞いたり、匂いをかいだりして診察します。

問診(もんしん)は、動物の飼い主さんに症状や既往症、生活環境などを聞いて診察します。

切診(せっしん)は、動物の脈をとったり、おなかやせなか、足などの体に触れて診察します。

獣医は人間と違って何科という区分けがあまりないので、総合的な判断が必要になっていきます。慎重にこれらの手法を使って動物の症状を診察していきます。

T：動物の診察時に注意していることはありますか？

小さい動物たちにしてみたら、人間は巨人ですよね。そんな巨人に囲まれて診察台に乗せられたら、警戒しますよね。ですので、まずは声をかけたり優しく触れるようにして、警戒心を与えないよう、不安にさせないようにしています。

T：最近、診察をされていて動物の症状で気になることや、増えてきた症状などはありますか？

ストレスでの症状が増えてきています。環境が原因のものが多くて、実際に飼い主さんに状況を伺っていますと、孫が来た。子供が生まれた。家族で喧嘩。住まいの近くで工事を始めた。花火が鳴る。などの環境変化や、かまわれすぎてストレスを抱えるケースが多いですね。

特に身体が小さい動物にとっては人間には小さなことでも、心体に大きく影響を与えていることがあります。動物は人間が考えている以上に人間のことを見ているし、気を使っていますし、言葉がしゃべれない分、症状として出てしまいます。

T：獣医師として大切にしていることなどがあれば教えてください。

しゃべれない動物の代弁ができなければと思っています。もちろん獣医師として治療を行う事は大前提ですけど、東洋医学を学んだ事で、動物の身体の不調を察知し、飼い主さんに伝えることで、飼い主さんと動物とのより良い関係を築く手助けができればなと考えています。

動物がいかに楽に過ごせるか？飼い主さん目線では無く、動物目線で苦痛を解いてあげることを大切にしています。

不幸な動物を減らしたい。それは飼われていても飼われていなくても。

T：今後取り組んで行きたいことや、やってみたい事などがあれば教えてください。

まずは未病の段階を飼い主さんに広く伝え、獣医療がもっと身近に受けられる環境を整備していきたいです。

そして不幸な動物を減らしたいです。それは飼われていても飼われていなくても。動物と人が笑顔で過ごせるように取り組んで行きたいと考えています。

T:ありがとうございました。今後の活躍も応援していきたいと思います。

星野浩子先生のクリニック「ほしのどうぶつクリニック」紹介

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