取材・文:MOTTY / 撮影:n-foto RSR team
好天の中幕を開けた今年のRISING SUN ROCK FESTIVAL 2016 in EZO
快晴の石狩で、8/12(金)の10:00から開幕したRISING SUN ROCK FESTIVAL 2016 in EZOは、本日、8/14(日)昼12時で2泊3日、50時間の開催期間を終了致した。この特別な2日間を音楽の神様が祝福してくれたかのように、日中は青空から太陽の光が降り注ぎ、夜は月がこの“音楽の街”を照らしてくれた。そんな恵まれた天候の中、道内各地そして全国各地から集まってくれたエゾロッカーズと、日本を代表するアーティスト達の熱演に支えられ、今年も素敵な朝陽を迎える事が出来た。仕事も、性別も、年齢も、趣味思考もバラバラな人達が、今年も同じ朝陽のもとでそれぞれの今日を迎えました。皆それぞれの生活に戻っていきますが、また来年、この場所で会おう。
<RISING SUN ROCK FESTIVAL 2016 in EZO入場者数>
8/12(金) 33,748人
8/13(土) 32,177人
TOTAL 65,925人
【ONE OK ROCK】<8/12(金)15:00〜@SUN STAGE>
メインステージとなるSUN STAGEのトップバッターを飾るのは2年ぶりの出演となるONE OK ROCK。
Tomoya、Ryota、Toruがステージ上に登場し、気づけばTakaがステージと客席間にあるお立ち台に。「3xxxv5」から「Take me to the top」でライヴがスタート。今年はずっと海外へ行っていた彼ら。日本でのパフォーマンスも久々ということで、彼ら自身も、お客さんの熱気も最初のからトップギアだ。「久々の日本の夏フェスです。どんなもんか見してみろよー!」とTakaが叫ぶと、「Deeper Deeper」「じぶんROCK」を立て続けに披露。海外で鍛えられた演奏力でその場にいるすべての人を掌握していく。中盤披露された「Wherever you are」では「久々の北海道なので、もっとみんなの近くに行きたいです。」とTakaとToruがお立ち台へあがり、先ほどとは空気を一変し、しっとりとその歌声を聴かせる。広い北海道の空に響きわたるTakaの声はどこまでも優しく力強かった。「The Beginning」「Mighty Long Fall」でさらにギアをあげお客さんの興奮は最高潮。1ミリも手を抜かずにラストの「完全感覚Dreamer」へ。世界で活躍するバンドになろうと、彼らの音楽にはやんちゃさと、優しさが今でも同居している。そして今の自分たちに満足することなくまだまだ高みを目指す4人。その姿をしっかりと見せつけ、最高の2日間がはじまった。
【Mrs. GREEN APPLE】<8/12(金)15:40〜@EARTH TENT>
今年、アーステントのトップバッターを務めたのは、初登場となった昨年に続いてライジング参戦のMrs. GREEN APPLE。
1曲めの「愛情と矛先」のイントロが鳴った瞬間、ステージにぐいーっと吸い寄せられるオーディエンス。そして、本番前のサウンドチェックからも感じたが、気合い漲るステージ上の5人。タオルスクリューがフロアを埋め尽くした「リスキーゲーム」、続く「Speaking」の間奏ではハンドクラップが、そして「HeLLo」のサビではコールアンドレスポンスが巻き起こり、弾けるような瑞々しさや勢いだけでなく、テント全体を巻き込んでいこうとする気持ちが前面に出たパフォーマンスをみせる。とくにフロントマン大森元貴の堂々とした佇まいは頼もしく、この一年のバンドの成長をしっかりとみせつけたライブでした。
【Suchmos】<8/12(金)16:30〜@RED STAR FIELD>
「神奈川から北の海にいい波持ってきました」と自己紹介する初出場のSuchmos。
神奈川で結成された彼らがRED STAR FIELDの二番手に登場した。
ヴォーカルYONCEの出身地である茅ヶ崎を唄った「S.G.S.3」でまずはご挨拶。YONCEの声は昼間に聴くにはもったいないくらいの色気がある。
「暑いね。人も多いし、なんなん!(笑)。おかげさまですごく楽しいです。涼しげな曲をやります」というMCのあとに演奏されたのは
ファーストアルバム収録の「YMM」。澄んだ北海道の空気と心地よい彼らのグルーヴが重なり、自然と身体が動く。
あくまで自然体で、ゆるゆるとライヴが進んでいく中、「今日はレッドスターフィールドだから赤いジャケット着てきたんだよ。
だから脱ぐわけにはいかないんだ。それとこのボロボロのジーパンも一緒履き続けるって決めてるんだ。そんな人生が大好きだし」とYONCEが話す。
そして披露されたのは最新作の「MINT」。
普段は何も無い場所に2日間だけ音楽が鳴るRSR。
そこで聴く〈何も無くても笑えていればいい/何も無くても歩けさえすればいい〉という歌詞が胸に響いた。
そこからは「DUMBO」でバンドサウンドとDJを見事融合させ、ラストの「LifeEasy」でお客さんを自由に踊らせ、堂々たる初パフォーマンスを終えた。
【八代亜紀】<8/12(金)17:10〜@RAINBOW SHANGRI-LA>
スタート前から、溢れんばかりのオーディエンスが集まったRAINBOW SHANGRI-LA。
まずは、伊東ミキオ、藤井一彦、中條卓、サンコンJr.、梅津和時というライジングではお馴染みのミュージシャンがステージに登場し、ブルジーなセッションを披露。その後、真っ赤なドレスをきた八代亜紀が姿を現わし、ものすごい歓声があがる。近年、ジャズやブルースのナンバーを集めた作品を発表している彼女らしく、最新作であるブルースアルバム『哀歌-aiuta-』中心のセットリスト。もちろん、「ご当地ソングを唄っちゃおうかな」と「石狩挽歌」を、「今日は暑いからね。あめあめ降れ降れしちゃう?」と「雨の慕情」を、そして「今日はビールおいしいね。冷たい酒もおいしいね……でもやっぱり、ぬるめのカンよね!」と「舟唄」までも披露!もはや、DNAに刻み込まれていると言っても過言ではない、これらの曲では大合唱が巻き起こる。バンドアレンジによって、ロックフェスバージョンに生まれ変わった、昭和歌謡の大名曲の連打に大興奮。彼女の大迫力の歌声と人柄がみえるキュートなMCで、ものすごい熱気に包まれたRAINBOW SHANGRI-LA。そして、ステージを去るときの八代さんの笑顔が、とても素敵でした。
【モッチェ永井】<8/12(金)19:00〜@RED STAR CAFE>
日の落ちたRED STAR CAFEに登場したのは、ファニーな外見とネーミングが気になる男、モッチェ永井。
RSRで一番小さいこのステージでも初登場のモッチェの前にはお客さんの姿はまばらだったが、抜ける様なハリのある声で唄っていくと次々と観客が集まって、気がつけば廻りは沢山の人で溢れていた。ジャマイカのルーツミュージックと昭和歌謡を混ぜ合わせた様な哀愁漂う唄が、観客の心を掴んでいき、最後はヤンヤヤンヤの大盛況!アンコールまで飛び出し、短い時間ながらも石狩の地にしっかりと爪痕を残していた。
【FRIDAY NIGHT SESSION〜真心ブラザーズの石狩フォーク村 夏祭り〜】<8/12(金)23:30〜@RAINBOW SHANGRI-LA>
ライジングサン、1日目から蝦夷の地で夜を過ごす者たちだけが楽しむことのできるスペシャルライブ、FRIDAY NIGHT SESSION。
今年のホストは、真心ブラザーズ。“石狩フォーク村 夏祭り”と銘打ち、フォークソング縛りのセッションとなった。村長=YO-KING、桜井正俊=書記(もしくは、イベントのときに妙に張り切る総務係長 by YO-KING)が、村の若者たち(岡部春彦、伊藤大地、奥野真哉)とともに、村に訪れた旅人(ゲスト)たちを迎えて、洋邦のフォークソングを披露していく。最初に登場の旅人、トータス松本は、吉田拓郎、かまやつひろしの「シンシア」、ニールヤング「ハート・オブ・ゴールド」をカバーと、のっけからド渋い選曲。23歳とは思えない、大人びたギターと歌声を聴かせるReiと水曜日のカンパネラのコムアイ(ポエトリー風から始まった中島みゆきの「ファイト」のカバー、よかった!)も登場し、夏祭りに花を添えていく。また、かつて真心がカバーしシングルとしてもリリースした高田渡の「自転車にのって」を、その息子の高田漣とともにプレイしたり、書記のリクエストにより、初期RCのナンバー「この世は金さ」「金もうけのために生まれたんじゃないぜ」を9mm Parabellum Bulletの菅原卓郎が唄うなど、ここでしか見ることの出来ないセッションが続いていく。
そして旅人の最後は、ハナレグミの永積タカシ。
YO-KING、もとい、村長が曲提供した「祝福」と、ローリングストーンズの名曲「ワイルド・ホース」を披露。
その後、再び真心ブラザーズで、神様・ボブディランの「マイバックページ」を披露し、石狩フォーク村の夏祭りはお開きになるかと思われたが、アンコールの声に応え、再びステージに村長、書記、村の若者、旅人たちが登場。真心ブラザーズの「空にまいあがれ」をプレイし、大団円を迎えたのだった。真心のメンバーとゲストたちが繰り広げるゆるーいトークと、真夜中のBOHEMIAN GARDENの夜空に響くフォークソングの心地よさ。
書記こと桜井さんが最後に「また来年も会いましょう!」と言っていたが、是非この場所での再演を希望します!
【大黒摩季】<8/13(土)14:50〜@RED STAR FIELD>
人で溢れかえるRED STAR FIELDに登場したのは6年振りにアーティスト活動を復活した大黒摩季。
「熱くなれ 〜album version〜」で、まずはご挨拶という具合にお客さんをあおっていく。「大黒摩季、ただいま戻りました」と彼女が言うと、大きな拍手と「おかえり!」という言葉が飛び交う。「もう何回も唄えなくなるかもと思って」と涙ぐみならに、RSRへ出演できたことの喜びを語る大黒。
ダンサーを入れ、「永遠の夢に向かって」「あなただけ見つめてる」を魅せた後、「独身者は手を上げてー! 皆さんに夏が来るように唄います」と言い、彼女の代表曲である「夏が来る」を披露。6年ぶりとは思えないほど、力強く圧倒的な歌声が響き渡る。そして小樽市立菁園(せいえん)中学校の学生をステージに招き、「心が一つになるのに、言葉が下手な私でも、一つになることが出来ます」と「ら・ら・ら」が演奏される。彼女自身の唄えることの喜びに、世代も男女も国も超えて、ここにいる人たちの心が一つになるのがわかり、胸が熱くなる。精一杯に生まれてきた場所と生きているいまに感謝の思いを届けた大黒。ラストは「また東京に戦いに行きますので、今後もよろしくお願いします」とかたり、最新曲の「Higher↗︎↗︎Higher↗︎↗︎」で締めくくった。
【松山千春】<8/13(土)18:30〜@SUN STAGE>
太陽が西の空に傾きかけた頃合いのSUN STAGEに、ついに松山千春が登場。
北海道出身の彼をRSRで見られる日が来るとは。「夢の旅人」ではじまったステージ。「ロックフェスティバルだろ? 俺、フォークシンガーだぜ?」とこの場所に自分が立っていることに謙遜しつつ、「長い夜」を披露。透き通るロングトーンが会場に響く。「ひまわり」「季節の中で」の流れでは、昼間はきっと暴れまくっていたであろう蝦夷ロッカーたちもその声と音に耳をすませて聴き入っている。デビューしてから40年。北海道を離れることなく、生まれ育ったこの大地でフォークシンガーとして唄い続けてきた松山千春。ロックだってフォークだって、ここでは関係ない。北海道の広い空の下では、そんな小さなことは本当に些細なことで、ここには音楽というものをみんなで共有できる喜びと幸せだけがある。
「機会があったら、また皆さんにどこかの街で会えたら嬉しいです」と言葉を残し、名曲「大空と大地の中で」が演奏され、松山千春はステージを去った。
鳴り止まないアンコールの拍手に再び登場。北海道の土産に聴いてくださいと鳴らされた「大いなる愛よ夢よ」。青い美しいライトの中、〈大いなる愛よ夢よ この空に描き 私はただ生きてゆく この広い大地〉と唄われる。ここで聴けて良かった。普段は何もない平地が広がっているだけのこのRSRの場所で聴くからこそ、染みるのだ。気づけば空はすっかり暗くなっていた。RSRの長い夜がはじまった。
【宴会部長 増子直純の~よりぬき ROOTS66 in EZO~】<8/13(土)21:00〜@SUN STAGE>
花火が上がり、エゾの夏、日本の夏を堪能したあと催された丙午=1966年生まれのミュージシャンによる盛大な宴、この“よりぬきROOTS66 in EZO”。
宴会部長の増子直純の言葉を借りるならば、今年のライジング最大の茶番が、サンステージにて繰り広げられた。スペシャルサポートのベーシストTatsu(67年生まれ。早生まれのため66年生まれとは同学年)以外、すべて66年生まれのミュージシャンによるバンドが演奏するウィルソン・ピケットの名曲「ダンス天国」に続いて、ドリフの長さんばりの挨拶で宴会部長・増子兄ィがステージに現れ、この企画の簡単な説明のあと、『夜のヒットスタジオ』形式で、この日、蝦夷の地に集まった66年生まれのボーカリストが登場していく。その後、70〜80年代の名曲や自身の代表曲など総勢10名のボーカリストが入れ替わり立ち替わり歌い継いでいくのだが、MC(というよりは、楽屋ネタに近いおしゃべり)を含めて詳細を書いていくと、とんでもない文字量になるので、ここではセトリ&担当ボーカリストを演奏順に列記してみたいと思う。
■ステージ登場順(夜のヒットスタジオ方式)
大槻ケンヂ→中川敬→増子直純→田島貴男→斉藤和義→渡辺美里→スガ シカオ→伊藤フミオ→八熊慎一→トータス松本
■セットリスト(オリジナルアーティスト)/担当ボーカリスト
「鉄爪」(世良公則&ツイスト)/トータス松本、増子直純、田島貴男
「My Revolution」/渡辺美里 with トータス松本、増子直純、田島貴男、スガ シカオ、伊藤フミオ
「ロックンロール・ウィドウ」(山口百恵)/渡辺美里、斎藤和義
「リンダリンダ」/伊藤フミオ、スガ シカオ
「氷の世界」(井上陽水)/八熊慎一、大槻ケンヂ
「満月の夕」/中川敬
「Changes 〜日本語意訳版〜」/中川敬、田島貴男
ここからステージに全員集合してのカバー曲&小ネタなどを。
「勝手にしやがれ」(沢田研二)→ボーカリスト全員、白のハットを被り、ワンコーラスめラストで客席へと投げる。
「ヤングマン」(西城秀樹)→ここで谷中敦、坂詰克彦も参加。
「北酒場」(細川たかし)→前日、狸小路のカラオケ店で練習してきたというオーケンのあとを受け、
なぜかボーカリストではない、バンマス奥野真哉が唄うひと幕も。
最後は客席バックに演者全員で記念撮影をし、大団円となったのだが、それぞれの個性を感じさせるパフォーマンスからは、
彼らが音楽の世界でここまでやってきた、やり続けてきた強さを感じずにはいられなかった。
そして、やや悪ノリが過ぎるところもあったりはしたが(笑)、トークも含めてしっかりエンターテイメントに昇華していく様といい、
宴会部長・増子兄ィのバンド、怒髪天のナンバー「オトナノススメ」のワンフレーズじゃないが、
ステキな大人たちの〈人生背負って大はしゃぎ〉を見せてもらい、大いに楽しんだ1時間半であった。いやぁ、ロックな大人は最高!
【My Hair is Bad】<8/13(土)27:40〜@SUN STAGE>
初登場のMy Hair is Badがすっかり暗くなったdef garageに登場。
比較的小さなこのステージは、はじまる前からすでに人で溢れかえり、彼らの期待値をそのまま表しているようだ。少し空回りそうなくらいの気合いで「真赤」からライヴがスタート。“今日一番ドキドキさせに来ました”と「アフターアワー」「元彼氏として」で、アグレッシブな演奏を見せる。ライヴバンドとして、年間相当数のステージをこなしているからこその、若さだけじゃないパワフルさが演奏から感じられる。RSRに出場したかったこと、1999年のbloodthirsty butchersのRSRの映像を見たこと、それが本物のバンドの姿であったこと、それから17年経って自分たちがここに立っていること、いろんな思いをヴォーカル椎木が一気に語り、「せっかく集まってくれたんだ。本物のロックバンド観て帰ってくれ。10年後、あのときマイヘア見たんだぜって言ってよ」と叫ぶ。その後の「from now on」は圧巻だった。何かを成し遂げ、何かになりたい、欲求のエネルギーがテントの中に充満し、音が、言葉が、大きな渦になってこちらに襲いかかってくる。その思いに一切嘘やごまかしがないのがわかる。ここでロックを鳴らしている彼らは間違いなく本物だ。そしてそれを聴いているお客さんたちもまた同様に、だ。メジャーシングルに収録されている「戦争を知らない大人たち」で今の自分たちを精一杯見せ、ラストは「夏が過ぎてく」で北海道の夏を彩った。次はまたより本物になった彼らを見ることができるだろう。そんな期待と興奮を胸に彼らが去ったステージを眺めた。
【BRAHMAN】<8/13(土)27:40〜@SUN STAGE>
2日間、晴天に恵まれた今年のライジング。その大トリを務めたBRAHMAN。
まだ薄暗い空に「Molih Ta, Majcho I Molih」が響き渡りステージに4人が現れた。そして、蝦夷の地だからこそのナンバー、アイヌ語で唄われる「Kamuy-pirma」から、作者の2人が揃っているから、と、震災以降、被災地などでTOSHI-LOWが弾き語りで唄う「満月の夕」を山口洋と中川敬を呼び込んで披露と、冒頭からライジングらしい選曲で意表を突かれる。が、その後、「朝日が昇るまで、BRAHMAN始めます」という言葉を合図にノンストップで12曲を畳み掛け、藍色の空が徐々に明るくなっていくなか、いつもの彼らのライブが展開されていく。「ANSWER FOR…」で客席に飛び込んだTOSHI-LOWが、曲が終わり、息を整えながら口を開いた。
悪態をつきながら、今しか話せないことを一言だけ、と言って放った言葉は——おはようございます。
何を言うのかと身構えていた会場からは笑いが起きる。でも、それはとても大事なひと言だ。その後、前方のお客さんに支えられたまま、今年ライジングの大トリを引き受けることになった経緯を語り、「天気がよくて良かった」と「霹靂」「鼎の問」を 唄って、一旦ステージへと戻った。そして「鼎の問」の際、客席で唄うTOSHI-LOWの背中を支えていた、札幌ハードコア/パンクシーンの中心人物であり、震災直後からBRAHMAN同様にいち早く復興支援活動を開始したSLANG・KOのことに触れたあと、「絶対このステージには道内の人間が立ったほうがいいよ。このバンドにやってほしかったけど、もういないから。代わりにはなれないけれど」と、3年前に急逝した吉村秀樹が作ったブラッド・サース ティー・ブッチャーズのナンバー「散文とブルース」をプレイ。そのタイミングでうす雲に隠れていた朝日が顔を出し、石狩の地を照らし出した。そんな感動的な瞬間のあと、ラストに「THE ONLY WAY」を叩きつけ、2016年のライジングサンを締めくくったのであった。 TOSHI-LOW本人も言っていたが、5年前なら絶対に引き受けなかっただろう、この日のステージ。心の深淵にある感情をじっと見つめ、己とは何か?を常に問いかけていくかのような音楽を鳴らしていた当時の彼らに、日の出によって生まれる幸福な空気など似合うわけもなかった。でも、朝がまたやってくること、「おはよう」と言葉を交わすこと、が、当たり前でもなんでもないことを5年前に思い知らされた今、彼ら、そして多くの蝦夷ロッカーズにとって、朝日と共に新しい1日をはじめることが出来る喜びを分かち合う、そんなライヴを今年、BRAHMANは見せてくれたような気がした。
また来年、ここ石狩の地で、新しい1日を朝日と素晴らしい音楽と共にはじめられますように。
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